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Numero 1 「3歳の美意識」
「スカートしか履きたくないの」
アリサが言ったとき、思わずどきっとした。
クローゼットの一番下の引き出しの中をかきわけながら
膨大なカプリパンツを外に放り出し、ようやく見つけたのが
ピンクのミニスカート。左右の手でばんざいするように広げ、
「あった〜。これこれ」
と嬉しそうに下からスカートを履きだした自分の娘の姿に、
呆然としてしまう。
「もう、女だ。この娘」
3歳ですでに、ピンクとか、スカートとか、言い出して、
それ以来、スカートしか着てくれなくなった。
保育園で毎日散歩に行くから、汚れてもいいように
動きやすいように、ってカプリパンツやスパッツばかりを
買うようにしていたのに、それには見向きもしてくれない。
スカートを履いていくようになってからは、
「あ〜、今頃公園でマイメロディのピンク色パンツをちらちら見せながら
遊んでいるんだろうな」と想像しただけでコワイし、仕事が手につかない。
変な人間が多いこんな世の中だからこそ、余計に。
さらわれたりしないか、いたずらされたりしないか、って。
だって、バギーに乗るとき、足を組むのにはびっくり。
だったら歩きなさいよ、って言いたくなる。
「あのさぁ、ミミがさぁ、ネイルしてるんだよ。ママ、私もやって」
とせがまれた日には、もう5年先の姿を想像してしまっていた。
ブリトニー・スピアーズみたいになっちゃったらどうしよう?
ヘソにピアス?ううん、舌にピアス?
もちろん腹は出すだろうし、ホットパンツなんか履いちゃうんだろうなぁ。
しかも実家のアメリカとかに行き来するから、
向こうのお姉ちゃんたちに触発されて、小学生ぐらいから
クラブ通いとかしたらどうしよう?白人のボーイフレンドとのキスを
目撃なんかしちゃったりしたら、もう失神するかも。
お願いだから、3歳のままでいて。よろしくね。
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