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8月6日
夏がくると、文学が恋しくなる。特に私の場合は、宮本輝の本だ。
避暑地の猫。これは軽井沢を舞台に繰り広げられる小説だが、
10 代の時に読んだ記憶では、かなり衝撃的なシーンもあったような…。
また読み返してみよう。
そして心に残るのは、「錦秋」。はじめから最後まで男女の手紙のやりとりで
終わっていくのだが、今のメール文化からは考えられないしっとりさが漂う。
なんといっても、輝さんが書く文には、いえ単語ひとつをとっても
そこにはドラマがあるからすごいと思う。
どんな映画監督でも、これを映像化するのは難しく、これまでに映画化が実現される
ことはなかったが、この夏、東京では舞台が行われるらしい。観てみたいな。
そして最近になって読もうと決意し、完読したのは、「愉楽の園」。
つい先ごろ、独身時代に買っておいたのだが、分厚いので後回しにしていた本。
なんと読み始めて目が点に!タイを舞台に繰り広げられるこの小説の
主人公、エカチャイという少年。
この名前はずばり今の私のパートナーの名前なのです!
これには本当に驚きました。
思えばこの本を買ってから 10 年は経っているはずだが、
その間に、私はいくつかの恋を経て、今のパートナーと知り合い、
さまざまな障害を乗り越え、無事に国際結婚をし、娘まで授かったわけですが。
この小説のなかには、その間にも、れっきとしてエカチャイという少年が生き続けていた、
ということになるわけで…。
私だってまさか、タイ出身・アメリカ育ちのチャイニーズ、という
複雑な人間に逢う、ということも予期していなかったのですが
まるで輝さんは、私の未来を予言していたかのような気がしてならないのです。
小説のなかのお話は、ゲイ(だったかな)の少年ではあるけれども…。
そもそもこのお話は、タイへ訪れたことのない輝さんが文学賞に応募するために
書き始めたものらしく、作家になられたのち実際に取材に行かれて小説を完成させたそう。
私も最初はカルチャーショックを抱いたバンコクですが、幾たびにその魅力に
とりつかれていった一人。あらためてバンコクの魅力を引き出してくれる小説でもあるので
みなさん、ぜひ読んでみてくださいな。
輝さんに関しては、ほかにもほんとうに縁があるなぁ、と勝手に思い込むことがしばしば。
まずは私の職業と同じコピーライター出身であること。そして不安神経症という病にも
かかってらっしゃったそうなのですが、私も中学生のとき、これと同じ症状で苦しんだことが
あったから、エッセイの中にそのエピソードが出てくると、まったくもって驚いたものです。
先生、これからもますますのご活躍をお祈りしています。
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