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12月9日土曜日

初めての遠足は小学校一年生のとき。
「おやつは100円まで」だった。

私は、友達に連れられ、近所の駄菓子屋さんで、
100円で買えるだけの、ありったけの駄菓子を買った。
単価が10円や20円のやつ。

結果的に当日、私は少し後悔することになる。
実は私、駄菓子が好きではなかったのだ。

だったら買わなければ良いのだけれど、
私はこのときまで、この類の駄菓子を食べたことがなかったので、
どういったものなのか、知らなかったのだから仕方がない。

(不味い…)
100円という、非常に限られた予算にしては、
充実した内容になったと思う。うん。
見た目もとても華やかな感じがすると思う。うん。
お店に連れて行ってくれた友達と楽しい時間を
共有できたとも思う。うんうん。

だけど、私はこの「味」が好きじゃない。

手元の、「赤色何号」だかで着色された、
おもちゃのような小さなお菓子を見つめながら、私は困っていた。
隣では、友達が美味しそうに駄菓子を食べている。

そのとき、私の目が、ふと一人のクラスメイトのお菓子に止まった。
彼女が手にしていたのは、紛れも無く100円のお菓子だった。

100円の予算を、1つのお菓子に…。
100円/個。

なんという思い切りの良さ!
なんてストイックな小学生!
独自のアイデアなんだろうか?

私はほんの少しうろたえたけれど、
(母親のアイデアに違いない)そう思いつき、安堵した。
とはいえ、殆どの子供が「10円駄菓子」を買い込んでいるなか、
周囲に惑わされることなく、たった一つのチョコレート菓子の道を
選ぶとは、みあげた精神じゃないか。

私は心に誓った。

(今度の遠足では、50円のお菓子を二つ買おう)

ものすごく思い切りの悪い私の思いをよそに、
次の遠足から、お菓子の予算が上がったと記憶している。

遠い日の記憶。

↑と、こんなことが一晩中頭に浮かんでいて、
ろくに眠ることができなかった。
今日は、初めてイタリアまで家族でドライブへ出発する日。

まさかとは思うけれど、私はとってもワクワクしていた。
睡眠が妨げられるくらい。

それでも朝はやってくる。
9:00a.m.レンタカーに荷物を押し込み、バタバタと出発。

途中のガソリンスタンドで、イタリア人の鞠男さん(仮名)と合流。
今回は、仕事でドイツへ来ていた鞠男さんに道案内をしてもらいながら、
イタリアへ行ちゃいましょう、という企画なのだ。

勝手知ったる人の道案内付だから、これほど安心な旅はない。
しかも、鞠男さんは日本に住んでいたこともあり、日本語も上手なのだ。

途中、エビアンの湧き出るという山を見て「うお〜」と叫び、
ガードレールのない雪の山道に震え上がりながら、走る走る。
「鞠男さん〜ガードレールがないよ〜((震))」と訴えると、
「ここ、とっても安全な道を選んだんですけどネ(笑)」と一笑。
普通のことらしい。



私達は、スイスの山道を走りながら、
子供の頃に食べた、クリスマスケーキを思い出していた。
ポツポツと建っている家が、まさにチョコレートでできた家にそっくり。
屋根に、粉砂糖がかかっている雰囲気までそのまま。
「ここって、絶対にサンタさんが来るね!」と大興奮の大人が二人。

今更だけど、日本のクリスマスなんて、なんて嘘っぱちなんだろう。
宗教的な背景が全く見えないのだから当たり前。
誰しも解ってはいることだけど、改めてそう思わずにはいられない。

鼻息も荒く、なんとかかんとか、夜8時頃、
鞠男さんの実家がある、イタリアのクネオという町に到着。
フランス寄りの町なので、「イタリアっぽくない」ということだったけれど、
私達にとっては「ドイツ以外のEU」の町は新鮮だった。
ネオンサインが多いのも新鮮。

この日は、鞠男さんの実家にホームスティさせてもらった。

鞠男さんのパパは、すでに亡くなられているということで、
ママは目下、一人暮らし。
同じアパートの上階に、お兄さんご家族が暮らしているらしい。

遅くの到着にも関わらず、鞠男さんママはにこやかに出迎えてくれ、
晩ご飯までご馳走になった、それどころか、
デザートも、食後のコーヒーも、ワインも頂いた。

チビが二人もいるのに、グズっても嫌な顔ひとつせず、
「ピコリ〜ナ」とニコニコしながら、ずっと娘の相手をして下さっていた。
本当に頭が下がる思いが一杯で、ベッドに入った。


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